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じゅうにぶきょう

出典: フリー仏教百科事典『ウィキダルマ(WikiDharma)』

十二部経

じゅうにぶきょう、dvādaśāṇgadharmapravacana द्वादशाण्गधर्मप्रवचन (S)

「十二分教(じゅうにぶんきょう)」「十二分聖教(じゅうにぶんしょうぎょう)」ともいわれ、仏(ぶつ)所説・如来(によらい)所説の教法を内容・形式によって分類したもの。伝承により多少の異同がある。

  1. 修多羅(しゅたら)(sūtra、経) 教説を直接散文で述べたもの
  2. 祇夜(ぎや)(geya、重頌(じゅうじゅ)) 散文の教説の内容を韻文で重説したもの
  3. 記別(きべつ)(vyākaraṇa) 仏弟子の未来について証言を述べたもの
  4. 伽陀(かだ)(gāthā) 最初から独立して韻文で述べたもの
  5. 優陀那(うだな)(udāna) 質問なしに仏がみずから進んで教説を述べたもの
  6. 如是語(にょぜご)(ityuktakaまたは本事(ほんじ) itivṛttaka) 仏弟子の過去世の行為を述べたもの
  7. 本生(ほんじょう、jātaka) 仏の過去世の修行を述べたもの
  8. 方広(ほうこう、vaipulya、本来はvedalla(pali)) 広く深い意味を述べたもの
  9. 未曾有法(みぞうほう、adbhutadharma) 仏の神秘的なことや功徳を嘆じたもの
  10. 尼陀那(にだな、nidāna、因縁) 経や律の由来を述べたもの
  11. 阿婆陀那(あばだな、avadāna、譬喩(ひゆ)) 教説を譬喩で述べたもの
  12. 優婆提舎(うばだいしゃ、upadeśa、論議) 教説を解説したもの

 1.修多羅から5.優陀那の五分が古く、6.から9.にいたる四分を加えて九部経と呼ばれるようになった。さらに後の三つが加わって十二部経となったと考えられ、仏教でもっとも古い聖典のカテゴリーを示したものである。仏典によって、九部経を伝えるものと十二部経を伝えるものがある。

 『本事経』(巻5)、『摩訶僧祇律(まかそうぎりつ)』(巻1)やパーリ聖典は九分教を伝え、『長阿含』(じょうあごん)(巻3)、『中阿含』(巻1)、『雑(ぞう)阿含』(巻41)、『四分律』(巻1)、『五分律』(巻1)、『大智度論』(巻25)その他の大乗の諸経論には十二部経の名を伝えるものが多い。パーリ聖典の優陀那(udāna)や漢訳の『本事経』(如是語)のように一つの聖典にまとまっているものもあるが、文学的ジャンルを示すと言える。